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~恋人ごっこ上(3)~
子供は、親の人形じゃない
期待に応えられなかったからって、恥じることはない
自分らしく生きれば良い
そんな当たり前の事に気付かないで、ただ我武者羅に親の期待に応えようと奮闘して、そして心が折れて‥‥逃げるように実家を離れて辿り着いた場所で、由樹はやっと自分の居場所を手に入れたような気がしていた。
当たり前の事に気付かせてくれたのは、誰でもない鋭と香雅夜の二人で‥‥
「俺にとって、鋭と香雅夜は憧れなんだ。ちゃんとお互いを見て‥‥お互いが必要で‥‥」
由樹が二人と出会った時、二人は既にそういう関係だった。オシドリ‥‥そんな言葉を連想させる絆が二人の間にはあって‥‥だからといって、別段二人がその事を意識しているわけではない。
「でも、父さんは俺の意思なんか無視して、会社と会社の繋がりに、俺を利用しようとしてる‥‥」
そこに、お互いを思いやる“愛情”や“労わり”なぞと言ったものはなくて‥‥そんな冷たい関係を強いられることが、堪らなく嫌で‥‥だから、口から出任せに言ってしまったのだ。
「その‥‥“お付き合いしている女性がいる”って‥‥」
その後は大変だった。やれ、どこの誰だ。家柄はどうなんだ。年上か、年下か。果ては‥‥
子供は、親の人形じゃない
期待に応えられなかったからって、恥じることはない
自分らしく生きれば良い
そんな当たり前の事に気付かないで、ただ我武者羅に親の期待に応えようと奮闘して、そして心が折れて‥‥逃げるように実家を離れて辿り着いた場所で、由樹はやっと自分の居場所を手に入れたような気がしていた。
当たり前の事に気付かせてくれたのは、誰でもない鋭と香雅夜の二人で‥‥
「俺にとって、鋭と香雅夜は憧れなんだ。ちゃんとお互いを見て‥‥お互いが必要で‥‥」
由樹が二人と出会った時、二人は既にそういう関係だった。オシドリ‥‥そんな言葉を連想させる絆が二人の間にはあって‥‥だからといって、別段二人がその事を意識しているわけではない。
「でも、父さんは俺の意思なんか無視して、会社と会社の繋がりに、俺を利用しようとしてる‥‥」
そこに、お互いを思いやる“愛情”や“労わり”なぞと言ったものはなくて‥‥そんな冷たい関係を強いられることが、堪らなく嫌で‥‥だから、口から出任せに言ってしまったのだ。
「その‥‥“お付き合いしている女性がいる”って‥‥」
その後は大変だった。やれ、どこの誰だ。家柄はどうなんだ。年上か、年下か。果ては‥‥
『由樹さん、今度のお誕生日パーティーに、その娘さんも連れていらっしゃいな。そうしましょう!是非、わたくしもお会いしてみたいものだわ。』
さも名案だと言わんばかりの母親の、その勢いに負けて、思わず承諾してしまったのだった。
「で、そこまで言われたら引くに引けなくて‥‥こんなの頼めるの、香雅夜しか思い付かなかったんだ。」
先に話を聞いていた鋭は、黙ったまま口を挟まない。
「判りました。私なんぞで良いのでしたら、お手伝いします。」
その答えを聞いて、鋭は思わず苦笑を漏らした。
-だろうな‥‥
そして、そんな言葉を溜飲する。元来、人から頼まれたことは断れない性分だ。ましてや、数少ない‥‥否、唯一と言っても過言ではないだろう、友人の頼みを断れるはずがない。断れるような、器用な性格でないことは重々承知していたし、そんな香雅夜だからこそ、惹かれたのだと自覚もしている。
『‥‥あんな私利私欲の塊な人間の集まりに、香雅夜連れて行きたくないし‥‥それに‥‥』
『何だよ‥‥』
『いや‥‥だって、一応鋭の彼女だし‥‥』
『一応は余計だ。』
思い出されるのが、小一時間ほど前の事‥‥
『良いんじゃねえか?香雅夜は、桐谷総合病院 院長の愛孫だ。お前の親父にとっても、文句なしの肩書きだろう?』
『いや、そういう事を言ってるんじゃなくって‥‥』
『‥‥赤の他人なら、知ったこっちゃねえ‥‥が、テメエだったら話が別だ。』
スパッと言い切ると、そこで会話は終了したのだった。
「って、わけだからね?鋭、聞いてた?」
思案に耽っていた鋭は、そんな由樹の言葉に現実に引き戻されてハッとする。
「あ?」
そう短く聞き返すと、由樹はもう一度念を押すみたいに言う。
「だぁから!鋭にも出席してもらうからね!!」
「‥‥‥あ?」
今週末の日曜日は、家でごろ寝だと決め込んでいた鋭のスケジュールが、大幅に変更された瞬間だった。
<了>
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さも名案だと言わんばかりの母親の、その勢いに負けて、思わず承諾してしまったのだった。
「で、そこまで言われたら引くに引けなくて‥‥こんなの頼めるの、香雅夜しか思い付かなかったんだ。」
先に話を聞いていた鋭は、黙ったまま口を挟まない。
「判りました。私なんぞで良いのでしたら、お手伝いします。」
その答えを聞いて、鋭は思わず苦笑を漏らした。
-だろうな‥‥
そして、そんな言葉を溜飲する。元来、人から頼まれたことは断れない性分だ。ましてや、数少ない‥‥否、唯一と言っても過言ではないだろう、友人の頼みを断れるはずがない。断れるような、器用な性格でないことは重々承知していたし、そんな香雅夜だからこそ、惹かれたのだと自覚もしている。
『‥‥あんな私利私欲の塊な人間の集まりに、香雅夜連れて行きたくないし‥‥それに‥‥』
『何だよ‥‥』
『いや‥‥だって、一応鋭の彼女だし‥‥』
『一応は余計だ。』
思い出されるのが、小一時間ほど前の事‥‥
『良いんじゃねえか?香雅夜は、桐谷総合病院 院長の愛孫だ。お前の親父にとっても、文句なしの肩書きだろう?』
『いや、そういう事を言ってるんじゃなくって‥‥』
『‥‥赤の他人なら、知ったこっちゃねえ‥‥が、テメエだったら話が別だ。』
スパッと言い切ると、そこで会話は終了したのだった。
「って、わけだからね?鋭、聞いてた?」
思案に耽っていた鋭は、そんな由樹の言葉に現実に引き戻されてハッとする。
「あ?」
そう短く聞き返すと、由樹はもう一度念を押すみたいに言う。
「だぁから!鋭にも出席してもらうからね!!」
「‥‥‥あ?」
今週末の日曜日は、家でごろ寝だと決め込んでいた鋭のスケジュールが、大幅に変更された瞬間だった。
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