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「運命なんて…どこにもない……道は、自分で切り開くものだ……」

自分の運命を
存在そのものを
呪った事がある

赦されない罪に
眠れない日を
幾夜過ごしただろう?

それでも…

「悲しいことや辛いことがあったとしても…うちのめされても、一生抜け出すのは無理だなんて……そんなこと、ないんだ…」

例えば
もう一度笑ったり
誰かを好きになったり…

「誰にだって、出来るんだ…」

大行はその言葉を受けて、皮肉に歪んだ笑みを口許に浮かべた。
緋岐を睨み付けるその双眸は、妬みの色に染まりきっている。
「いいよなぁ…お前みたいな恵まれてる奴には、わかんないよなぁ!」
闇が、じわじわと内側から大行を侵食していく。
「どうせ、心の中じゃ笑ってるんだろ!?」
「なっ……そんな事ない……」
緋岐の否定を、大行は鼻で笑い飛ばす。
その瞳は常軌を逸していた。
「何もかも、不自由なくて…悩み何かねえから、そんなエラソーな事言えるんだよ!」
その言葉に気色ばんだのは、緋岐ではなく詆歌だ。

黙って聞いてりゃ、調子に乗りやがって…

うちから沸く、自身のものではない純粋な“怒り”に緋岐は慌てる。
「詆歌…ダメだ…」

うるせぇ!代われ緋岐!こんなヤツ…

そこまでだった。詆歌の言葉が遮られる。
遮ったのは、けたたましいバスのクラクションだ。
自然と視線は紗貴に集まる。
「さっきから、黙って聞いてりゃ…」
相も変わらず、紗貴の視線は前を向いたままだ。
だが後ろ姿から迸しる殺気は、一般人をも怯ませる。
「人間生きてりゃねぇ、二つや三つや四つや五つくらい悩みあるのよ!」
「いや…五つはいくらなんでも多過ぎじゃ…」
行大は思わず…遠慮がちに言う。しかし…
「うるさい!黙れ!このミクロ!」
紗貴の罵倒が勝っていた。
「ミッ…ミクロ…?」
「あんたなんて、何の度胸もない…ただ逃げてばかりの臆病風に吹かれてる、ちっちゃい、けつまらない男なだけじゃない!」


紗貴は知っていた。

ずっと傍で見てきた。

ただ見ている事しか出来なかった。

自身を翻弄する運命から

“誰か”を守る為に立ち上がった香雅夜。

“約束”を果たす為に挑んだ鋭と由樹。

“罪を贖う為”に背き続ける詆歌。

そして…

“生きる為”に、必死に抗う緋岐。

「受験に失敗した?それが何よ!“運命”のせいにしてんじゃないわよ!」

傍観者でいるしかなかった、無力な自分…

だからこそ、誓った。

「道は、切り開くものよ。」

そう…もしも

万に一つでも

“運命”なんてモノが
本当にあるなら…

「呪う前に、立ち向かうべきだわ。」

絶対に屈しない

彼らに恥じない
胸を張れる

そんな自分であろうと

決めていた。

「自分の不幸に陶酔して悲劇の主人公を語るのは、あんたの勝手よ。」

でも…

「人巻き込むなんて、最低の低の人間のする事だわ!」
紗貴が言い終わるが早いか、それとも大行の行動が早いか…
「うるさい!うるさい、うるさい!」
叫びながら、紗貴に向かって振り上げられる刃…
同時に、乗客から悲鳴が上がった。
それは横断歩道の真ん中で、迫るバスの勢いに気圧されて立ち止まってしまったのであろう青年の姿で…
「紗貴!」

急ブレーキのけまましいヒステリックな悲鳴が上がる。

それは

一瞬の出来事だった。

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