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~恋人ごっこ上(3)~


子供は、親の人形じゃない
期待に応えられなかったからって、恥じることはない
自分らしく生きれば良い

 そんな当たり前の事に気付かないで、ただ我武者羅に親の期待に応えようと奮闘して、そして心が折れて‥‥逃げるように実家を離れて辿り着いた場所で、由樹はやっと自分の居場所を手に入れたような気がしていた。
 当たり前の事に気付かせてくれたのは、誰でもない鋭と香雅夜の二人で‥‥
「俺にとって、鋭と香雅夜は憧れなんだ。ちゃんとお互いを見て‥‥お互いが必要で‥‥」
 由樹が二人と出会った時、二人は既にそういう関係だった。オシドリ‥‥そんな言葉を連想させる絆が二人の間にはあって‥‥だからといって、別段二人がその事を意識しているわけではない。
「でも、父さんは俺の意思なんか無視して、会社と会社の繋がりに、俺を利用しようとしてる‥‥」
 そこに、お互いを思いやる“愛情”や“労わり”なぞと言ったものはなくて‥‥そんな冷たい関係を強いられることが、堪らなく嫌で‥‥だから、口から出任せに言ってしまったのだ。
「その‥‥“お付き合いしている女性がいる”って‥‥」
 その後は大変だった。やれ、どこの誰だ。家柄はどうなんだ。年上か、年下か。果ては‥‥

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~恋人ごっこ上(2)~

不思議そうに首を傾げながら指で示すのは、隣の小屋にいるセキセイインコだ。笑顔が固まった瞬間だった。
「いや、香雅夜‥‥そのネーミングセンスはどうかと‥‥」
 頬の筋肉が引き攣るのが判る。
「坂本、そこで衝撃を受けるな。ご隠居もいる。」
 そう言いながらクイッと指し示すのが、鶏小屋だ。
「はい、コウモンさんです。」
 満面笑顔で紹介されて、由樹はとうとう堪え切れなくなって、思いっきり噴出した。そんな由樹を見て、心外そうに香雅夜が言う。
「だって、鶏冠がお髭っぽく見えませんか?」
 小首を傾げながら、不思議そうに言う香雅夜に、鋭は深いため息をつく。
「お前のネーミングセンスは、破滅的だな。」
「そういや、この間拾った仔犬の名前なんて、“ごんざれす”だっけ?」
 言いながら、思い出したのだろう‥‥目に涙を浮かべて笑いながら、途切れ途切れに由樹が続ける。
「ゴールデンレトリバーの、ごんちゃん‥‥良い名前じゃないですか?」
「良くねえよ。外種の犬に、和名付けるなよ。」
 今更遅い、抗議である。
「あれ?そう言えば、よし君は私に何か御用があったんじゃないんですか?」
「あ、そうだった!」
 話が横道に逸れてしまって盛り上がる事は、別段珍しいことではない。だが、今日は逸れたままではまずいのだったと、由樹は気を取り直してまじめな顔で香雅夜に言う。
「付き合って欲しいってのは、冗談じゃないんだ‥‥俺の“彼女”になって欲しい‥‥」

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~恋人ごっこ上(1)~

「香雅夜、俺と付き合ってくれない?」
「え?」
 桐谷 香雅夜は、自分と同じようにしゃがみこんだままニコニコ微笑む男子生徒に、そんな間抜けな返答をするとウサギの“スケさん”を膝に乗せたまま思案に耽る。
「いいですよ。」
 ふわりと微笑んで、香雅夜は頷いた。その予想を裏切らない返答に、少年は苦笑を禁じえない。思わず噴出しそうになるのを、腕に顔を埋めて必死に堪える。そんな様子に何を勘違いしたのか‥‥香雅夜は心配そうに少年を窺い見る。
「あの‥‥よし君‥‥?大丈夫ですか?」
-お熱でもあるのでは‥‥
 言いながら差し出す左手は、だがしかし、少年の額に触れることなく上から攫われた。
「おい、バカヤ‥‥何、堂々と浮気してやがる。」
「鋭、早かったですね。」
 それでなくとも元来の人相の悪い少年は不機嫌丸出しの今、その迫力は計り知れない。いきなり現れて香雅夜の頭上から彼女の伸ばされた左手を無造作に掴んだ、その殺人犯と見間違うほど凶悪な人相の少年に、香雅夜は少し嬉しそうにそう応える。
「あれ?鋭、いいって言わなかったっけ?」
 鋭と呼ばれた少年は、揶揄の色を帯びたその言葉の持ち主を、その眼光だけで殺せるのではないかと思ってしまうほど、睨み付けた。
「由樹‥‥わざとだな?相変わらず、なめた性格しやがって‥‥」
 その言葉に少年‥‥坂本 由樹は臆することなく‥‥むしろ、この状況を愉しんでいることを肯定するかの様にニッコリと微笑む。対照的なのが香雅夜だ。今一歩順応し切れていないようで、困惑げに二人を見比べる。
「あの‥‥何のお話しですか?」
 口を挟んで良いものか悩んでいたらしい香雅夜は、おずおずと尋ねる。その声に、二人の少年は香雅夜に視線を移す。
「あのさ、香雅夜‥‥付き合うって意味、判ってる?」
 そんな、念押しの様な由樹の言い様に小首を傾げる。
「どこかに、お出掛けするんですよね?」

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~プロローグ~


星とは、なんと遠いところに在るんだろうね

手を伸ばせば届きそうなのに届かない‥‥

人の心も、似ているとは思わないかい?

判ったつもりになって、

手が届いたつもりになって、

でも、実際にその人の心に触れることなんて出来ない。

手を伸ばしても、届かない

ああ、まるで人とは星そのもののようだね

星のように、いろんな人がいる

みんながトクベツ

みんなが普通

“普通”こそが、トクベツなんだよ


『“普通”にしてなさい。』
 
 昔から、ずっと言われ続けて来た言葉‥‥

『あんたが“普通”じゃないから、他所様から変な目で見られるんだよ!』

 母親は、そう言って私に良く物を投げ付けた。私が物心付いた頃、父親には既にもう一つの“カゾク”が在った。
 冷え切った夫婦の絆。それでも別れないのは「子供の為」だと母親はいう。迷惑な話だ。誰が、いつ頼んだのか、教えて欲しいものだ。何度、そう心の中で毒付いた事か‥‥

 父方の実家は凄い富豪の家で、母との結婚は反対されたのだそうだ。

『でもね、手に手を取り合って二人で逃げてここまで来たの。』

 酒のにおいをプンプンさせながら、気分が少し高揚すると母は良くそう嘯いた。私は静かに笑顔の“仮面”を履いて、頷く振りをする。
 下手に何か言おうものなら、また物が飛んで来るのは判りきったことだったから‥‥そんな母との4畳半の“セカイ”に、突然父親は帰ってきた。
 私がその父親からもらったものは、侮蔑の視線だけだった。一時間ほどして、父親は“カゾク”の元へ帰っていった。

 泣きじゃくる母の前にはクシャクシャになった“離婚届”が無造作に転がっていて‥‥

 目が合った瞬間、私は「まずい」と思って視線を逸らしたけれど、その時にはもう遅かった。髪を容赦なく引っ張られて、頭に熱湯を被ったような激痛が走る。最初は泣いて抵抗したけれど、所詮10にも満たない子供が大の大人に勝てる訳もなくて‥‥

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