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~恋人ごっこ上(2)~
不思議そうに首を傾げながら指で示すのは、隣の小屋にいるセキセイインコだ。笑顔が固まった瞬間だった。
「いや、香雅夜‥‥そのネーミングセンスはどうかと‥‥」
頬の筋肉が引き攣るのが判る。
「坂本、そこで衝撃を受けるな。ご隠居もいる。」
そう言いながらクイッと指し示すのが、鶏小屋だ。
「はい、コウモンさんです。」
満面笑顔で紹介されて、由樹はとうとう堪え切れなくなって、思いっきり噴出した。そんな由樹を見て、心外そうに香雅夜が言う。
「だって、鶏冠がお髭っぽく見えませんか?」
小首を傾げながら、不思議そうに言う香雅夜に、鋭は深いため息をつく。
「お前のネーミングセンスは、破滅的だな。」
「そういや、この間拾った仔犬の名前なんて、“ごんざれす”だっけ?」
言いながら、思い出したのだろう‥‥目に涙を浮かべて笑いながら、途切れ途切れに由樹が続ける。
「ゴールデンレトリバーの、ごんちゃん‥‥良い名前じゃないですか?」
「良くねえよ。外種の犬に、和名付けるなよ。」
今更遅い、抗議である。
「あれ?そう言えば、よし君は私に何か御用があったんじゃないんですか?」
「あ、そうだった!」
話が横道に逸れてしまって盛り上がる事は、別段珍しいことではない。だが、今日は逸れたままではまずいのだったと、由樹は気を取り直してまじめな顔で香雅夜に言う。
「付き合って欲しいってのは、冗談じゃないんだ‥‥俺の“彼女”になって欲しい‥‥」
不思議そうに首を傾げながら指で示すのは、隣の小屋にいるセキセイインコだ。笑顔が固まった瞬間だった。
「いや、香雅夜‥‥そのネーミングセンスはどうかと‥‥」
頬の筋肉が引き攣るのが判る。
「坂本、そこで衝撃を受けるな。ご隠居もいる。」
そう言いながらクイッと指し示すのが、鶏小屋だ。
「はい、コウモンさんです。」
満面笑顔で紹介されて、由樹はとうとう堪え切れなくなって、思いっきり噴出した。そんな由樹を見て、心外そうに香雅夜が言う。
「だって、鶏冠がお髭っぽく見えませんか?」
小首を傾げながら、不思議そうに言う香雅夜に、鋭は深いため息をつく。
「お前のネーミングセンスは、破滅的だな。」
「そういや、この間拾った仔犬の名前なんて、“ごんざれす”だっけ?」
言いながら、思い出したのだろう‥‥目に涙を浮かべて笑いながら、途切れ途切れに由樹が続ける。
「ゴールデンレトリバーの、ごんちゃん‥‥良い名前じゃないですか?」
「良くねえよ。外種の犬に、和名付けるなよ。」
今更遅い、抗議である。
「あれ?そう言えば、よし君は私に何か御用があったんじゃないんですか?」
「あ、そうだった!」
話が横道に逸れてしまって盛り上がる事は、別段珍しいことではない。だが、今日は逸れたままではまずいのだったと、由樹は気を取り直してまじめな顔で香雅夜に言う。
「付き合って欲しいってのは、冗談じゃないんだ‥‥俺の“彼女”になって欲しい‥‥」
-ただし、一日だけ‥‥
事の発端は、先週の日曜日‥‥由樹の母親からの電話。
現在、由樹は親元を離れて下宿生活をしている。週末には必ず、母親から連絡が入るのが日課になっているので、それ自体は別段珍しいことでも何でもない。
問題は、その会話の中身にあった。
『由樹さん、あなたももうすぐ14歳になります。そこで‥‥あなたの誕生日パーティーで、然るべき相手との婚約を発表すると、お父様が仰っているの。構わないわね?』
突然、そう切り出されたのだ。
もともと、坂本グループの三男坊ということもあって、ある程度自由気ままに過ごして来た。中学受験に失敗したときも、自分の我侭で、わざわざ下宿しなければならないような遠方の公立中学に通わせてもらっていることも重々承知しているし、感謝だってしている。
「でも、だからっていきなり婚約だよ!?この年で!!まだ恋だってしたことないのに‥‥」
しかも、お見合いという過程を見事なまでにスキップして‥‥
「有り得ないだろう!?」
母親との会話を思い出して、由樹は沸々と怒りが蘇って来たのか‥‥彼らしからぬ様子で捲くし立てる。そうして、一つ溜息を付くとそれまでの勢いは何処へやら‥‥俯いてポツリポツリと語り出した。
「俺の人生は、俺の人生だ‥‥父さんの敷いたレールを走るなんて、真っ平ごめんだ‥‥まだ、自分がしたいことだって見付かってないのに‥‥俺は、自分の夢は自分で見付けたいのに‥‥」
<続く>
事の発端は、先週の日曜日‥‥由樹の母親からの電話。
現在、由樹は親元を離れて下宿生活をしている。週末には必ず、母親から連絡が入るのが日課になっているので、それ自体は別段珍しいことでも何でもない。
問題は、その会話の中身にあった。
『由樹さん、あなたももうすぐ14歳になります。そこで‥‥あなたの誕生日パーティーで、然るべき相手との婚約を発表すると、お父様が仰っているの。構わないわね?』
突然、そう切り出されたのだ。
もともと、坂本グループの三男坊ということもあって、ある程度自由気ままに過ごして来た。中学受験に失敗したときも、自分の我侭で、わざわざ下宿しなければならないような遠方の公立中学に通わせてもらっていることも重々承知しているし、感謝だってしている。
「でも、だからっていきなり婚約だよ!?この年で!!まだ恋だってしたことないのに‥‥」
しかも、お見合いという過程を見事なまでにスキップして‥‥
「有り得ないだろう!?」
母親との会話を思い出して、由樹は沸々と怒りが蘇って来たのか‥‥彼らしからぬ様子で捲くし立てる。そうして、一つ溜息を付くとそれまでの勢いは何処へやら‥‥俯いてポツリポツリと語り出した。
「俺の人生は、俺の人生だ‥‥父さんの敷いたレールを走るなんて、真っ平ごめんだ‥‥まだ、自分がしたいことだって見付かってないのに‥‥俺は、自分の夢は自分で見付けたいのに‥‥」
<続く>
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