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~プロローグ~
星とは、なんと遠いところに在るんだろうね
手を伸ばせば届きそうなのに届かない‥‥
人の心も、似ているとは思わないかい?
判ったつもりになって、
手が届いたつもりになって、
でも、実際にその人の心に触れることなんて出来ない。
手を伸ばしても、届かない
ああ、まるで人とは星そのもののようだね
星のように、いろんな人がいる
みんながトクベツ
みんなが普通
“普通”こそが、トクベツなんだよ
『“普通”にしてなさい。』
昔から、ずっと言われ続けて来た言葉‥‥
『あんたが“普通”じゃないから、他所様から変な目で見られるんだよ!』
母親は、そう言って私に良く物を投げ付けた。私が物心付いた頃、父親には既にもう一つの“カゾク”が在った。
冷え切った夫婦の絆。それでも別れないのは「子供の為」だと母親はいう。迷惑な話だ。誰が、いつ頼んだのか、教えて欲しいものだ。何度、そう心の中で毒付いた事か‥‥
父方の実家は凄い富豪の家で、母との結婚は反対されたのだそうだ。
『でもね、手に手を取り合って二人で逃げてここまで来たの。』
酒のにおいをプンプンさせながら、気分が少し高揚すると母は良くそう嘯いた。私は静かに笑顔の“仮面”を履いて、頷く振りをする。
下手に何か言おうものなら、また物が飛んで来るのは判りきったことだったから‥‥そんな母との4畳半の“セカイ”に、突然父親は帰ってきた。
私がその父親からもらったものは、侮蔑の視線だけだった。一時間ほどして、父親は“カゾク”の元へ帰っていった。
泣きじゃくる母の前にはクシャクシャになった“離婚届”が無造作に転がっていて‥‥
目が合った瞬間、私は「まずい」と思って視線を逸らしたけれど、その時にはもう遅かった。髪を容赦なく引っ張られて、頭に熱湯を被ったような激痛が走る。最初は泣いて抵抗したけれど、所詮10にも満たない子供が大の大人に勝てる訳もなくて‥‥
星とは、なんと遠いところに在るんだろうね
手を伸ばせば届きそうなのに届かない‥‥
人の心も、似ているとは思わないかい?
判ったつもりになって、
手が届いたつもりになって、
でも、実際にその人の心に触れることなんて出来ない。
手を伸ばしても、届かない
ああ、まるで人とは星そのもののようだね
星のように、いろんな人がいる
みんながトクベツ
みんなが普通
“普通”こそが、トクベツなんだよ
『“普通”にしてなさい。』
昔から、ずっと言われ続けて来た言葉‥‥
『あんたが“普通”じゃないから、他所様から変な目で見られるんだよ!』
母親は、そう言って私に良く物を投げ付けた。私が物心付いた頃、父親には既にもう一つの“カゾク”が在った。
冷え切った夫婦の絆。それでも別れないのは「子供の為」だと母親はいう。迷惑な話だ。誰が、いつ頼んだのか、教えて欲しいものだ。何度、そう心の中で毒付いた事か‥‥
父方の実家は凄い富豪の家で、母との結婚は反対されたのだそうだ。
『でもね、手に手を取り合って二人で逃げてここまで来たの。』
酒のにおいをプンプンさせながら、気分が少し高揚すると母は良くそう嘯いた。私は静かに笑顔の“仮面”を履いて、頷く振りをする。
下手に何か言おうものなら、また物が飛んで来るのは判りきったことだったから‥‥そんな母との4畳半の“セカイ”に、突然父親は帰ってきた。
私がその父親からもらったものは、侮蔑の視線だけだった。一時間ほどして、父親は“カゾク”の元へ帰っていった。
泣きじゃくる母の前にはクシャクシャになった“離婚届”が無造作に転がっていて‥‥
目が合った瞬間、私は「まずい」と思って視線を逸らしたけれど、その時にはもう遅かった。髪を容赦なく引っ張られて、頭に熱湯を被ったような激痛が走る。最初は泣いて抵抗したけれど、所詮10にも満たない子供が大の大人に勝てる訳もなくて‥‥
罵詈雑言と共に襲う痛みに、結局私は耐えるしかなくて‥‥
泣けば、「うるさい」と
目線が合えば、「ムカつく」と
抵抗すれば、「生意気だ」と
それまでにも、幾度となく言われ続けて来た言葉‥‥
だから、“涙”を捨てた
母親に気付かれないよう、そっと視線を逸らすようにした。
“痛み”に気付かない振りを覚えた。
文句なんて言える立場じゃないと、私はちゃんと立場を弁えていた。
『この現状を作った根源はお前よ』
『あんた何か、生まれてこなければ良かったんだわ!』
壊れたラジオみたいに、繰り返される言葉。私は、その度に反論の言葉の一切を溜飲した。
それでも‥‥父親と母親は、私が初めて外気に触れて痛くて苦しくてたまらず大泣きした瞬間、一般的な親同様泣いて喜んでくれた。
『鼻は、あなたに似てるわ』
『髪の美しさは、君にそっくりだ』
母は、私の髪が黒かったことに安堵の息を漏らした。自分の犯した罪を、このまま誰にも知られることなく闇に葬り去ることが出来ると思っていた。
でも‥‥‥
『あんたのせいで、私の人生めちゃくちゃだわ!』
ある日、母親はそういうと酒瓶を片手に4畳半のアパートから裸足で飛び出していった。
間もなく、甲高い耳障りな自動車のブレーキ音が響く。続いて聞こえてきたのは何か肉の塊がぶつかる様な、鈍い音。
人の悲鳴らしきものも聞こえてきた。一時して救急車のサイレンの音が、そして少し遅れてパトカーのサイレンの音も近付いてきて、近所で止まった。
4畳半の箱の外は、段々と騒然として来ているのが判った。それでも私は4畳半の狭い狭い“セカイ”から一歩も動けずに、小さく小さく蹲った。
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泣けば、「うるさい」と
目線が合えば、「ムカつく」と
抵抗すれば、「生意気だ」と
それまでにも、幾度となく言われ続けて来た言葉‥‥
だから、“涙”を捨てた
母親に気付かれないよう、そっと視線を逸らすようにした。
“痛み”に気付かない振りを覚えた。
文句なんて言える立場じゃないと、私はちゃんと立場を弁えていた。
『この現状を作った根源はお前よ』
『あんた何か、生まれてこなければ良かったんだわ!』
壊れたラジオみたいに、繰り返される言葉。私は、その度に反論の言葉の一切を溜飲した。
それでも‥‥父親と母親は、私が初めて外気に触れて痛くて苦しくてたまらず大泣きした瞬間、一般的な親同様泣いて喜んでくれた。
『鼻は、あなたに似てるわ』
『髪の美しさは、君にそっくりだ』
母は、私の髪が黒かったことに安堵の息を漏らした。自分の犯した罪を、このまま誰にも知られることなく闇に葬り去ることが出来ると思っていた。
でも‥‥‥
『あんたのせいで、私の人生めちゃくちゃだわ!』
ある日、母親はそういうと酒瓶を片手に4畳半のアパートから裸足で飛び出していった。
間もなく、甲高い耳障りな自動車のブレーキ音が響く。続いて聞こえてきたのは何か肉の塊がぶつかる様な、鈍い音。
人の悲鳴らしきものも聞こえてきた。一時して救急車のサイレンの音が、そして少し遅れてパトカーのサイレンの音も近付いてきて、近所で止まった。
4畳半の箱の外は、段々と騒然として来ているのが判った。それでも私は4畳半の狭い狭い“セカイ”から一歩も動けずに、小さく小さく蹲った。
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